相続税が払えない!延納とは?利子税はいくら?審査で落ちやすいポイント

「相続税の計算をしてみたら、数千万円…。そんな現金、手元にないよ!」
相続財産のほとんどが不動産で、預金が少ない場合、期限までに現金を用意できないことがあります。

どうしても払えない場合の救済措置として、

  • ✅ 分割払いの「延納(えんのう)」
  • ✅ モノ(不動産など)で払う「物納(ぶつのう)」

という言葉を聞いたことがあるかもしれません。 しかし、これらは自由に選べるものではありません。 「どうしても現金が作れない」という証明が必要な上、非常に厳しい審査があります。

この記事では、延納・物納のハードルの高さと、安易に選んではいけない理由について解説いたします。

目次

1. 原則は「現金一括払い」

大前提として、相続税は「現金一括」がルールです。
「銀行から借りてでも払ってください」「不動産を売ってでも作ってください」というのが税務署のスタンスとなります。

延納や物納は、あくまで「あらゆる手段を尽くしたが、どうしても現金が用意できない場合」に限って認められる特例措置となります。

2. 延納(分割払い)の条件

「現金一括は無理だけど、毎年少しずつなら払える」という場合です。

  • 条件: 相続税額が10万円超で、金銭納付が困難な金額の範囲内であること。
  • 期間: 原則5年~20年以内(不動産の割合による)。
  • デメリット(利子税): 延納は「国からの借金」と同じなので、利息(利子税)がかかります。長期間になれば総支払額は増えます。また、延納する税額に見合う「担保(抵当権)」を提供しなければならない場合があります。

3. 物納(モノで払う)の条件

「お金がないから、相続した土地で払います」という最終手段です。 しかし、国は「現金が欲しい」ので、物納を極力嫌がります。

  • 条件: 延納によっても金銭納付が困難であること(※ここが厳しい!)。
  • 対象: 国債、不動産、株など(※優先順位あり)。
  • デメリット(評価額): 物納する時の土地の値段は、市場価格(時価)ではなく「相続税評価額(路線価)」です。

    【例】1億円で売れる土地でも、路線価が8,000万円なら、8,000万円でしか引き取ってくれません。
    その場合なら自分で1億円で売って、手元に2,000万円残した方がお得という事になります。

【富士・富士宮の実務メモ:物納できる土地、できない土地】

ここ富士市や富士宮市の地主様で、「使い道のない山林や傾斜地を物納したい」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら実務的には厳しい状況です。

国は「管理処分不適格財産」といって、以下のような土地の受け取りを拒否します。

  • 境界が確定していない土地(※山林に多い、隣地との杭が入っていない土地)
  • 崖(がけ)地や傾斜地(※造成しないと家が建たない土地)
  • 権利争いがある土地(※他人が勝手に使っているなど)

「良い土地」なら引き取ってくれますが、良い土地なら自分で売った方が得をします。 結果として、このエリアで物納が選ばれるケースは極めて稀です。

まずは「延納」か「銀行ローン」を検討し、それでも足りなければ「一部売却」を考えるのが現実的です。

当事務所では、地元の不動産業者と連携し、納税期限に間に合わせるための売却サポートも行っておりますのでお気軽にご相談ください。

4. まとめ

「払えないかも」と思ったら、期限ギリギリではなく、申告の数ヶ月前から対策を練る必要があります。

土地を売却して現金化するにしても時間がかかります。10ヶ月の期限を過ぎると延滞税がかかりますので、資金繰りの相談は早ければ早いほど選択肢が増えます。


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この記事を書いた人:能登路 哲也
(のとじ税理士事務所所長 / 公認会計士・税理士)

富士市・富士宮市エリアで相続税申告・生前対策・事業承継を中心とした資産税業務に注力する専門家。一般的な相続手続きや生前対策はもちろん、複雑な税務案件にも精通。資産税のプロフェッショナルとして、地域のご家族一人ひとりの状況に寄り添った親身なサポートを大切にしております。

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