名義預金とは?親の口座じゃないのに相続税がかかるケース

「相続税の申告書を作っているけれど、妻や子供名義の通帳は、当然関係ないですよね?」
「孫のために貯めておいた教育資金の口座は、孫の名前で作ってあるから大丈夫ですよね?」

もし、そう思って申告書から除外しようとしているなら、少し待ってください。 その預金は、税務調査で最も狙われやすい「名義預金(めいぎよきん)」かもしれません。

⚠️ 申告漏れ指摘のNo.1は「名義預金」です

「名義が違うから」という理由は、税務署には通用しません。この記事では、名義預金の判断基準と、調査で否認されないための対策を解説いたします。

目次

1. 【結論】「名義」ではなく「実質」で判定される

日本の税法には、「実質課税の原則」という大ルールがあります。 これは、書類上の形式(名義)にかかわらず、「実質的にその利益を享受しているのは誰か?」を見て課税するというものです。

たとえ通帳の名義が「専業主婦の妻」や「未成年の孫」であっても、以下の答えが「亡くなった人(被相続人)」であるならば、それは相続税の課税対象になります。

  • そのお金を出したのは誰か?
  • その通帳を管理していたのは誰か?

これを除外して申告すると、悪意がなくても「申告漏れ」となり、重いペナルティ(過少申告加算税など)を課されるリスクがあります。

2. 税務署が見る「5つの判断基準」

調査官は、以下の5つのポイントを総合的に見て判定してきます。

  1. 原資(お金の出どころ): 収入のない名義人の口座に多額の資金がある場合、原資は亡くなった人とみなされます。
  2. 管理・運用: 通帳や印鑑が亡くなった人の金庫や机から出てきた場合、「本人の支配下にあった」と判断されます。
  3. 収益の享受: 利息や配当金を名義人が自由に使っていない(あるいは存在すら知らない)場合はアウトです。
  4. 名義人の認識: 「おじいちゃんが勝手に作っており自分は知らなかった」と答えた瞬間、贈与が成立していないことが確定します。
  5. 届出印の種類: 亡くなった人のメイン銀行印と同じハンコが使われていると、名義預金である強力な証拠になってしまう可能性が高くなります。

3. よくある「名義預金」のパターン

パターンA:妻のへそくり

生活費の余りをコツコツ貯めた預金。 妻としては「節約して貯めた私のお金」ですが、税務上は「夫の稼ぎ」なので、夫の遺産になります。 (※妻自身のパート収入などは除きます)

パターンB:孫への秘密のプレゼント

「孫が大きくなったら驚かせよう」と内緒で作った積立。 孫が知らなければ贈与は成立しておらず、祖父の遺産に戻されます。

【富士・富士宮の実務メモ:やってはいけない「名義預金」】

ここ富士市や富士宮市の堅実なご家庭では、お孫さんの将来を思って、地元の静岡銀行やスルガ銀行、富士信用金庫(ふじしん)などでコツコツ積み立てを行っているご家庭もあるかと思います。

「地元の支店だからバレないだろう」は通用しません。税務署は職権で過去10年分の履歴を閲覧できます。追徴課税を防ぐためには、以下の徹底した対策が必要となります。

  • 管理を手放す: 通帳と印鑑を孫(親権者)に渡し、祖父母の金庫で保管しない。
  • 実績を作る: 学費や車代など、実際にその口座から払い出し、孫が使っている実績を作る。
  • 契約書を残す: お金を移すたびに「贈与契約書」を作成し、証拠を固める。

家族への想いが「脱税扱い」されるのは不本意なはずです。少しでも不安な通帳があれば、申告前にぜひご相談ください。

4. 税務調査での視点

調査官は、調査に来る前にすでに銀行調査を終えています。 「亡くなった方の口座から毎年100万円が出金され、同日に孫名義の口座に入金されている」という事実を掴んでいます。

「このお孫さんの通帳、今どこにありますか?」
この質問に、被相続人管理の金庫から出してきたら、管理は被相続人であると証明しているようなものなので、言い逃れは非常に苦しいものになります。

5. まとめ

名義預金は、「隠そうとして隠したわけではない」ケースが大半です。 ご自宅に「使っていない家族名義の通帳」がある場合は、遺産に含めるべきかどうか、必ず専門家による精査を受けてください。


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この記事を書いた人:能登路 哲也
(のとじ税理士事務所所長 / 公認会計士・税理士)

富士市・富士宮市エリアで相続税申告・生前対策・事業承継を中心とした資産税業務に注力する専門家。一般的な相続手続きや生前対策はもちろん、複雑な税務案件にも精通。資産税のプロフェッショナルとして、地域のご家族一人ひとりの状況に寄り添った親身なサポートを大切にしております。

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