【ご相談事例】アパート経営・農業における「償却資産」の固定資産税と、相続に向けた財産目録への記載
お客様からのご相談内容
実家が20年前からアパート経営と農業を営んでいます。帰省した際、固定資産税の納税通知書に「償却資産」という記載があるのを見つけました。
昨年、アパートの老朽化した階段を200〜300万円ほどで新しいものに交換したのですが、こういったものは償却資産の対象になるのでしょうか?また、実家が現在どのような償却資産に対して税金を払っているのか、内訳を知る方法を教えてください。
将来の相続(遺言書の財産目録の作成など)も見据えて、処分済みの資産に対する税金の取り扱いや、専門家への調査依頼が可能かどうかも知りたいです。
公認会計士・税理士の回答
ご相談ありがとうございます。固定資産税における「償却資産」は、ご自身で申告と管理を行う必要があるため、ご実家のようにアパート経営と農業を兼業されている場合は特に注意が必要です。ご質問のポイントを4つに分けて解説いたします。
1. アパート経営や農業における「償却資産」の対象
償却資産とは、土地・建物(家屋)以外の、事業のために用いている構築物や機械、備品などを指します。アパート経営や農業において対象となる主なものは以下の通りです。
- アパート経営: 駐車場のアスファルト舗装、フェンス、ブロック塀、駐輪場、ゴミステーション、独立した太陽光発電設備など。
- 農業: トラクター、コンバイン、田植え機、動力噴霧器、ビニールハウスなどの機械・設備。
ご質問にある「交換した階段」についてですが、建物の構造と完全に一体化している場合は「家屋」の一部として評価されます。しかし、建物から独立して設置された屋外の鉄骨階段などの場合は、「構築物」として新たに償却資産の申告対象となります。金額的にも資本的支出(資産価値を高める大規模修繕)に該当するため、申告に上がっている可能性は高いと考えられます。
2. 償却資産の内訳を確認する方法
現在課税されている資産の内訳を正確に把握するには、以下のいずれかの方法をとります。
- 「償却資産申告書」の控えを確認する:
毎年1月末にご実家(または関与税理士)が市区町村へ提出している申告書の控え(種類別明細書)を確認します。 - 市区町村の窓口で「償却資産課税台帳(名寄帳)」を取得する:
控えがない場合は、役所の固定資産税担当窓口で台帳の写しを請求します。(※ご両親以外のご家族が窓口へ行く場合は委任状が必要です)。
3. 処分した古い資産の「申告漏れ」による税金の払い過ぎに注意
償却資産税は自己申告制です。新しく取得した時だけでなく、使わなくなって処分(廃棄・売却など)した際も「減少申告」を行う義務があります。
固定資産税の償却資産には、「どれだけ古く(耐用年数を経過)なっても、取得価額の5%が評価額として永遠に残り続ける」という特有のルールがあります。役所側が勝手に台帳から消すことはできないため、減少申告を行わない限り、現場に存在しない古い農機具などに対して永遠に税金がかかり続けてしまいます。
台帳を取得した後は、必ず現場に足を運び、「帳簿上のリスト」と「実際に存在するもの」を突き合わせる実地確認を行ってください。
4. 相続(財産目録)への記載と、専門家への依頼について
アパートの屋外設備や農機具などの償却資産も相続税の課税対象となるため、遺言書等の財産目録への記載を強く推奨します(細かなものは「農業用機械器具一式」等とまとめて記載するのが一般的です)。
目録作成にあたり、「相続手続き全体ではなく、財産目録の調査・作成のみ」を税理士等の専門家に依頼することは可能です。ただし、役所や金融機関からの資料収集を専門家が代行する場合は、目録作成費用に加えて資料収集の代行手数料が発生するのが一般的です。
ご相談者様からの声
お忙しいところ、迅速かつご丁寧な回答を誠にありがとうございました。
償却資産には耐用年数があり、いずれ老朽化するにも関わらず、(申告をしない限り)いつまでも税金がかかり続けるというルールには本当に驚きました。もし現場に存在しない古い資産が載ったままなら固定資産税の払い過ぎになりますし、遺産分割協議で財産目録に間違いがあるとやり直しになって大変だと聞いていたので、早急に精査しようと思います。
しなければいけない事が山のようにあり、高齢の父が元気でいてくれることを願うばかりです。この度は本当にありがとうございました。

