【ご相談事例】夫婦で車を共同購入(折半)する場合の資金移動と贈与税の注意点
お客様からのご相談内容
共働きの夫婦で、私の古い車を買い替えるため、230万円の軽自動車を折半で購入しようと検討しています。(勤務時間の都合で夫婦それぞれ1台ずつ車を所有しています)
支払いは現金一括を予定しており、私の自己資金50万円と、妻からの180万円を一度私の口座にまとめ、私から販売店へ振り込む予定です。
妻が多めに出す分のうち、65万円については「今年35万円、来年30万円」と分けて私が妻へ返済する約束になっています。
このようなお金のやり取りは、贈与税の課税対象になるのでしょうか?もし対象になる場合、妻からの年内の振込額を110万円以下に抑えるべきか、あるいは借用書などの書面を残せば非課税にできるのか、正しい対策を教えてください。
公認会計士・税理士の回答
ご相談のケースを現在の計画のまま実行された場合、一部の金額について贈与税の対象となる可能性がございます。しかし、ご推測の通り「借用書(契約書)を作成する」などの適切な対策を講じることで、非課税とすることが可能です。税務上の観点から、その理由と具体的な対策を解説いたします。
1. なぜ贈与税の対象になり得るのか?
今回、購入されるお車の名義(車検証上の所有者)が「ご自身(夫)」になる前提とした場合、税務署は妻から口座へ振り込まれる「180万円」を以下の2つの性質に分けて判断します。
- 妻の本来の負担分(115万円)=夫への「贈与」
車が夫の単独名義となる場合、妻が負担する折半額の115万円は、夫への車の購入資金の「贈与」とみなされます。贈与税の年間基礎控除額は110万円ですので、このままでは超過する5万円分が課税対象となってしまいます。 - 後日返済する立て替え分(65万円)=夫への「貸付」
後で妻に返す予定の65万円は「借金」にあたります。しかし、夫婦間のお金の貸し借りは「ある時払いの催促なし」とみなされやすいため、客観的な証拠(契約書や返済履歴)がないと、税務署から「実質的にはこれも贈与(合計180万円の贈与)」と認定されるリスクがあります。
2. 贈与税を回避するための具体的な対策
実務上、最もスムーズで安全な対策を2パターンご紹介します。
対策A:妻からの「借入額」を70万円に変更し、借用書を作成する(推奨)
ご自身の口座から購入先へ全額振り込むためには、妻から180万円を振り込んでもらう必要があります。そこで、妻へ返済する借入額を65万円から「70万円」に設定し直します。
- 妻からの贈与分: 110万円(基礎控除内にピタリと収まり無税)
- 妻からの借入分: 70万円(例:今年40万円、来年30万円を返済)
この70万円について「金銭消費貸借契約書(借用書)」を夫婦間で作成し、署名・捺印します。さらに、返済時は現金の手渡しではなく、必ず「夫の口座から妻の口座への銀行振込」で行い、通帳に客観的な返済履歴(証拠)を残すことで、税務署からの指摘を完全に防ぐことができます。
対策B:車の名義を「共有名義(持分50%ずつ)」にする
お車の名義自体を夫婦の共有名義(夫50%:妻50%)にすれば、妻が出資する115万円は「自分の持ち分に対する支払い」となるため、そもそも贈与にはあたりません(残りの65万円分の借用書は必要です)。
ただし、軽自動車の場合、車検証には代表者1名しか記載されないため、別途「合意書」等を作成して共有財産であることを明確にする手間がかかります。手間の観点からは、対策Aの方が簡潔です。
身内であっても、税務上は「赤の他人と同じように契約と記録を残す」ことが、無用なトラブルを避ける最大の防衛策となります。ぜひご参考になさってください。
ご相談者様からの声
ご回答いただきありがとうございます。対象外となる具体的な方法があることが分かり安心いたしました。
生活や社会活動に必要な車であっても、夫婦間で110万円以上の資金移動があると贈与税の対象として見られてしまうのですね。
アドバイスいただいた「対策A」の方法で進めていきたいと思います。とても丁寧に分かりやすく教えていただき、ありがとうございました。

